理事長・院長のごあいさつ 公益財団法人十愛会 十愛病院 理事長・病院長 野崎伸次
十愛病院は、主に知的障碍児・者に対する療育と併存する精神疾患に対する治療を基本理念として、昭和44年、この品濃町の地に開設されました。当時、まだ東戸塚駅はなく、横浜新道から病院の敷地まで水田に囲まれ、病院の脇の坂道を少し上ると夏にはのどかな田園風景やヘイケボタルによる幻想的な光景が広がっていました。その後、50年以上の月日が流れ、周囲の景色は様変わりしましたが、当院の理念は今日まで脈々と受け継がれています。
当院を受診される方々の多くは、幼少期から行政機関や福祉施設の療育支援を受け、その後、二次障碍や新たな精神疾患の発症により地域での生活が困難となったため、紹介されて来られます。その様な方々に真摯に向き合い、外来・入院治療を中心とした医療を提供して参りました。
昨今の医療・福祉を取り巻く情勢は目まぐるしく変化しており、いかにして入院生活から地域生活へ移行し、定着を図っていくかという流れがあり、当事者やご家族の希望を尊重した上で、当院の役割も社会情勢を意識したものでなければなりません。一方で、福祉的な支援だけでは対応が難しく、継続した医療の必要な方々も依然として少なくないのが現状です。
近年、知的障碍は、単なる数値による分類ではなく、支援の必要性による分類が重視され、一層、福祉的な側面が強調されるようになり、合併することの多い発達障碍の概念は、様々な知見を基にして変遷し、医療的なアプローチの可能性が広がっています。しかし、併存する精神疾患については診断から治療に至るまで十分に検討されているとはいえず、今後、診療経験を重ね、微力ながらも明らかにしていく必要性を感じております。
平成17年に障碍者総合支援法が制定され、障碍福祉サービスが一元化されましたが、精神疾患を併存した知的障碍者への医療及び福祉は、重複した障碍が故に、いまだ十分ではありません。
当院では、知的障碍により一般の精神科病院では十分な対応が得られず、精神疾患により知的障碍者施設でも支援が困難な方々に対して、当事者やご家族の期待に応えるべく、医療福祉相談から治療まで一貫した絶え間のないサービスを提供して参ります。
十愛会における医療と福祉の両立、様々な身体疾患を合併した方々に関する専門医療機関との連携等を当面の課題として掲げ、皆様が健やかに生活して行かれることを願っております。
最後に開院以来、横浜市を始めとした行政各局のご支援を賜りましたことを心より感謝申し上げます。
令和3年3月11日
病院長略歴
- 昭和58年3月
- 神奈川県立横浜翠嵐高校卒業
- 昭和58年4月
- 昭和大学医学部入学
- 平成元年3月
- 昭和大学医学部卒業
- 平成元年4月
- 昭和大学病院勤務
- 平成5年3月
- 昭和大学大学院医学研究科修了
- 平成5年4月
- 昭和大学病院精神科 助手
- 平成9年4月
- 東京都立府中病院神経科 医員
- 平成13年4月
- 昭和大学横浜市北部病院メンタルケアセンター 助手・医局長
- 平成17年1月
- 東京都立府中病院神経科 医長
- 平成20年3月
- 東京都保健医療公社荏原病院(兼務)
- 平成22年3月
- 東京都立多摩総合医療センター神経科 医長
- 平成23年8月
- 東京都立多摩総合精神保健福祉センター 地域支援科医長
- 平成27年4月
- 東京都立大塚病院神経科(兼務)
- 平成28年4月
- 東京都立多摩総合精神保健福祉センター 副所長(専門参事)
- 平成29年1月
- 昭和大学横浜市北部病院メンタルケアセンター 准教授
- 平成30年4月
- 横浜市西部地域療育センター診療所発達精神科(兼務)
- 令和3年1月
- 公益財団法人十愛会 十愛病院 院長
- 昭和大学医学部精神医学講座 客員教授
資格
- 医学博士
- 精神保健指定医
- 日本医師会認定産業医
- 日本精神神経学会 精神科専門医・指導医
所属学会
- 日本精神神経学会
- 日本総合病院精神医学会
- 日本臨床精神神経薬理学会
- 日本精神科救急学会
- 日本社会精神医学会
- 日本精神科診断学会
役員
- 公益財団法人十愛会 理事長
- 社会福祉法人十愛療育会 理事
- 横浜市地域リハビリテーション協議会 委員
- 東京都小児精神障害者入院医療費助成制度審査会 委員